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阿倍仲麻呂“遣唐”1300年


遣唐使を知る

knowledge

遣唐使を知る上でかかせない人々やキーワードを解説します。

  • 唐の高官として生涯を閉じた秀才

    阿倍仲麻呂あべのなかまろ

    若くして学才を謳われており、717年、第9次遣唐使として海を渡り、唐の長安に留学。当時、超難関とされていた科挙(官僚登用試験)に見事合格。
    唐の官僚となり、その後、異例の出世をとげました(下図参照)。753年に帰国を決意するも、船が難破して想いは叶わず。
    再び唐朝に戻って昇進を重ねていきましたが、770年に生涯を閉じました。

    ※参考文献:上野誠「遣唐使 阿倍仲麻呂の夢」
  • 2回唐に渡った博学の政治家

    吉備真備きびのまきび

    22歳の時、阿倍仲麻呂と同じく第9次遣唐使の留学生に任命されます。儒学や天文学、音楽、兵学を学び、その学識が唐朝に認められてなかなか帰国が許されませんでしたが、735年にようやく帰国。751年に再び遣唐副使として入唐しました。その2年後、暴風雨に見舞われながらも鑑真とともに無事に帰国しました。

  • 橘諸兄政権の担い手として出世

    玄昉げんぼう

    阿倍仲麻呂らとともに、学問僧として遣唐使に随行しました。智周から法相を学び、当時の皇帝玄宗にもその才能を認められた。735年に、経論5000巻の一切経と諸々の仏像を携えて帰国。聖武天皇の母、藤原宮子の病気を祈祷により回復させ賜物をうけました。聖武天皇の信頼も篤く吉備真備ととも橘諸兄政権の担い手として出世しますが、反対勢力により、745年に左還された後、任地で没しました。

  • 日本初、未婚の女性天皇

    元正天皇げんしょうてんのう

    それまでの女帝が皇后や皇太子妃であったのに対し、結婚経験は無く、独身で即位した初めての女性天皇。皇太子である甥の首皇子(聖武天皇)がまだ若いため、715年に母・元明天皇から譲位を受け即位しました。在位中には、阿倍仲麻呂が海を渡った大9次遣唐使派遣や養老律令の編さん、日本書紀完成、三世一身の法の制定などが行われました。退任後も聖武天皇をサポートしました。

  • 遣唐使って?

    日本が唐に派遣した使節のこと。630年に第一次遣唐使が派遣されて以来、200年以上にわたって優秀な留学生らが送り出され、当時の先進国であった唐の文化や制度、そして仏教の日本への伝播に大いに貢献しました。

    ◆遣唐使が持って行ったもの

    遣唐使が、日本から唐へ持参する朝貢品としては、延喜五年(905年)に編纂された『延喜式(えんぎしき)※』(大蔵省・賜春客例・大唐皇)の賜春客例条から、以下のリストが考えられています。

    ※延喜式(えんぎしき)
    平安時代中期に編集された格式(律令の施行細則)で、三代格式の一つです。
    905年(延喜5年)、醍醐天皇の命により藤原時平らが編纂を始め、時平の死後は藤原忠平が編纂に当たり、927年(延長5年)に一応完成したとされています。

       国信(定例の朝貢品・輸出品)
    ①銀…大五百両
    ②水織絁(みずおりあしぎぬ※)…二百疋
     美濃絁(みのあしぎぬ※)…二百疋
     細絁・黄絁…各三百疋
    ③黄糸…五百絢
    ④細屯綿(ほそつみのわた)

    ※絁(あしぎぬ)
    古代日本の絹織物の一種。
    交換手段・課税対象・給与賜物・官人僧侶の制服などに用いられていました。

    ◆遣唐使が持って帰ってきたもの

    また、遣唐使は、外交使節というだけでなく、当時、世界一の大国であった唐から、海外情勢や中国の先進的な技術や仏教の経典等を収集するという目的もありました。
    旧唐書には、日本の使節が中国の皇帝から下賜された数々の宝物を市井で売って金に替え、代わりに膨大な書物を買い込んで帰国していったと言う話が残されています。
    唐は世界一の文明国であることを対外的にも表明していましたから、外国使節が先進の中国文化を持ち帰ることには寛容で、文化的なものであれば、基本的に国外持ち出しに対しての制約はありませんでした。


    ◆各種作物…白菜、ピーマン、スイカなどを、長安で種を得て日本に持ち帰り、日本に根づかせました。
    ◆楽 器…横笛・宮中でも使われている笙(しょう)、正倉院にある五弦の琵琶
    ◆遊具・ゲーム等…サイコロ、双六、回碁、壼の形をした陶器に投げる輪投げなども伝わりました。
    ◆経典以外の書…古代中国のよい文を集めた「文選(もんぜん)」、自楽天の詩などが愛好されました。
    ◆貨 幣
    ◆野菜発酵(はっこう)技術…漬物等、蘇(そ)、味噌(みそ)、しょうゆ
    ◆スパイス・薬草・胡椒(こしょう)・シナモンなど
    ◆占い・天文学・暦法(れきほう)
    ◆小国鶏(しょうこくどり)
    ◆拳 法…法相宗
         岡寺の開基者である義淵(~728)の私坊が中世に槍で有名になる宝蔵院の始まりである。
  • 第九次遣唐使節団について

    阿倍仲麻呂が留学生として参加した「第九次遣唐使節団」は、平城京遷都後、初めての遣唐使節団として、総勢557人になり、日本遣唐使としては、当時それまでで最大の使節団ということになりました。

    使節はじめ、以下の遣唐使のメンバーは無事に唐に到着しても洛陽や都の長安に入れるのは一部の人たちに制限されていました。正式な使節・随員のうち、40~50名程度の入京しか認められていませんでしたので、他の者は定められた別の地で、それぞれの専門分野の知識を学ぶため、長安以外の地で種々の研鑽に勤めたようです。

    ◆使節
    遣唐押使 … 従四位下 多治比真人県守
    大 使  … 従五位上 阿部朝臣安麻呂 (のちに大伴宿禰山守と交代)
    副 使  … 正六位下 藤原朝臣馬養

    大判宮―名 大録事二名
    小判宮二名 少録事二名

    ◆技手
    訳語…通訳:新羅・奄美等の訳語
    主神…神主
    医師
    陰陽師…易占、天文観測
    卜部…占い師
    射手
    音声長(おんじょうちょう)…楽長
    音声(おんじょうしょう)…楽師
    玉生(ぎょくしょう)…ガラスエ人
    鍛生(たんしょう)…鍛冶鍛金工
    鋳生(ちゅうしょう)…鋳靱師
    細工生(さいくしょう)…木工工人
    ◆船員
    知乗船事(つじょうせんじ)…船団管理者
    船 師…船長
    船 匠…船大工
    柁 師(かじし)…操舵長
    挟抄(かじとり)…操舵手
    水手長(かこおさ)
    水手(かこ)
    ◆留学生
    留学生(るがくしょう)…長期留学生 (阿倍仲麻呂、吉備真備)

    学問僧…長期留学僧 (玄昉)

    請益生(しょうやくしょう) …短期留学生
    還学僧(げんがくそう)… 短期留学僧

  • 節刀授与の儀

    遣唐使に任命された大使や副使は、それぞれ縁のある神社やお寺に参拝して、まずは航海の安全祈願をします。船団の準備が整うと、最後は天皇の代理人の証として天皇から節刀を授与され、出発に挑みます。

    第九次遣唐使では、多治比真人県守が遣唐押使で大使の阿部朝臣安麻呂、副使の藤原朝臣馬養らとともに、霊亀二年(716年)に任命され、翌年の養老元年(717年)には、進発に際して、元正天皇に拝謁し、数日後には内裏に召集されて天皇より節刀が与えられました。